誰もが知る道端に生えているタンポポ。
畑やお庭のあるお家では、タンポポは根が深くしぶといと、厄介者扱いでもあります。
そんなタンポポが、食べられるとご存じでしたか?
タンポポは、食べられる野草。少し苦味のある春の美味しい摘み菜として知られています。
私自身も長いこと雑草扱いとしてみてきたタンポポ。
そんなタンポポがお茶に、サラダに、コーヒーにもなります!
今回は、実際にタンポポを採り、タンポポを食べるための方法を紹介していきます。
鑑賞だけでなく、タンポポの花や葉っぱを味わって春のパワー感じてみませんか。
幸福の第一のそして広く認められている条件とは
人間と自然との関係を乱すことのない生活、
すなわち広い天空のもと、陽光と新鮮な大気とにつつまれて、
大地と草木と生き物とともにある生活を送ることである。
レフ・トルストイ
(里山料理ノオト 江南和幸 著 サンライズ出版)
タンポポとは?
種 :キク科 多年草
分 布 :日本全土
生育場所:野原、道端、市街地
採取時期:一年中
薬用など:健胃、胆汁分泌、強壮
(摘み菜がごちそう 平谷けいこ著 山と渓谷社 参照)
春を彩るタンポポは、実はこんなに有能です。
タンポポというと黄色のイメージが強いですが、地域によっては、白い花の咲くシロバナタンポポも見られます。
江戸時代の最大の農学者、宮崎安貞さんの著書「農業全書」によると、
タンポポは「田の畔、畑の端に、多少によらず植えるべきであると推奨する野菜」とのこと。
タンポポは、産地を国内外にざっくり大きく分けると3つの種類があります。
- 日本に元からある在来種のタンポポ
- 約130年前に西洋から伝わったセイヨウタンポポ(外来タンポポ)
- 両方が混ざってできた混合種のタンポポ
在来種のタンポポと比較すると、セイヨウタンポポは、生命力が強く、日本全国あちこちに咲いています。
それは、花粉を使わずに種を作る仕組みを持っているからです。一方在来種のタンポポは、花粉で種を作ります。
現在では、そのセイヨウタンポポと在来種のタンポポが混じったものが多くなっています。
オリジナルなセイヨウタンポポは、暑さが苦手なタンポポでした。
この混合種のタンポポは、暑い夏を耐え抜く方法を身に付けたタンポポと考えられているそうです。
植物の生きるパワーの凄さを感じずにはいられません。
(ぜんぶわかる!タンポポ 岩間史朗 著 ポプラ社 参照)
タンポポを採る時、気をつけること
ここでは、食用としてタンポポを採る時に知っておきたいポイントを説明します。
- 花の咲く前の若い大株が良い
- 根元にナイフを入れ、株ごと採り、根は残しておく
- 動物の糞尿、除草剤が撒かれていないか注意
- ビニール袋ではなく、紙袋やザルを用意
タンポポの花は、密閉すると蒸れてしまうため、通気性の良い袋を用意することをオススメします。
葉っぱは、収穫後あっという間にしなしなに。
自宅に帰り、濡れたキッチンペーパーでくるみ、ビニール袋に入れて冷蔵庫に入れたら復活しました。
根はとても深いので、シャベルや鍬などの掘るための道具が必要です。
ラジオペンチで根を引っこ抜くことも可能だそうです。次回試してみようと思います。
タンポポ茶の作り方
「たんぽぽ茶の美味しさは、花粉」
以前に参加したワークショップで三浦靖司さんに教えていただきました。
三浦靖司さんは、一般社団法人KIDS GO WILD代表理事であり、Japan Bushcraft Schoolのオフィシャルインストラクター。西日本を中心にワークショップを開催されているアウトドアマンです。
「心配だったら、洗っても良いけど、洗わない方が絶対美味しい。」とおっしゃっていました。
なので、市街地から離れている場所でタンポポを摘み、そのままお湯を注いでみました。
見た目もとてもかわいく、だんだんとお湯が黄色にほんのり色づいていきます。
タンポポ茶って、どんな味がするの?
カモミールティーに似ていて、
お花の香りとほんのり緑の香りで美味しいよ!
ティーカップ1杯に、タンポポの花を6個入れてみましたが、味も香りのバランスも良く大満足。
お花を入れるだけなので、濃さの調整も簡単です。
ハーブティーが好きな方は、きっと違和感なく楽しめるのではないでしょうか。
私は、カモミールティーが大好き。豆乳で煮出し、きび砂糖を入れて飲むのが一番のお気に入り。
このタンポポも香りの特徴が似ているので、豆乳で煮出してみたいと思っています。
自分一人じゃ不安だし分からないから、まずは習ってみたい
そんな思いがある方には、その道の達人に習ってみると世界が広がるかも知れません。
私自身もワークショップでの体験がキッカケで、タンポポを摘んで飲んでみたいと思うようになりました。
アウトドアワークショップってどういうことするの?そんな疑問が解決できる記事はこちらからどうぞ。
タンポポサラダの作り方
サラダは生食するので、柔らかい葉っぱを採ります。
外側より、花に近い内側の葉っぱの方が柔らかいです。
キレイに洗って、食べやすい大きさにカットします。
タンポポの葉だけのグリーンサラダだと、苦味が引き立ってしまうので、レタスなど他の葉物野菜にミックスして食べるとのがおすすめです。
シンプルに、オリーブオイル、塩、ブラックペッパー、ホワイトビネガーで味付けし、素材の味を楽しめます。
クレソンや、ルッコラなど香り強い野菜のお好きな方は、タンポポの優しい苦味に癒されるでしょう。
そこまで香りが強くないので、子どもたちも食べやすいタンポポの葉です。
自分で摘んだ葉をサラダにするとなると、美味しさも一段とアップします。
タンポポコーヒーの作り方
タンポポコーヒーは、商品としての販売が多いので、馴染みがある方も多いはず。
タンポポコーヒーとは?
・19世紀にアメリカで考案された
・コーヒーという名称だが、コーヒー豆は使用していない
・タンポポにはクロロゲン酸化合物が含まれており、風味や飲み口はコーヒー豆で作ったコーヒーに近い
・カフェインを含まず、不眠症患者や子供、妊娠・授乳期の女性でも飲用できる
(Wikipedia参照)
そんなタンポポコーヒーを手塩にかけて作ってみませんか。
1、根を数日干して乾かす
タンポポの根は、まっすぐと下に向かって伸びているので、深く掘り、根を掘り出す
掘ったら、水で洗い、歯ブラシなので、隙間の土をキレイに落とし、1〜2cmに切り、天日でカラカラにする
2、弱火でゆっくり黒くなるまで炒る
強火だと焦げてしまうので、ゆっくり中〜弱火で
3、すり鉢ですり、粉にする
すり鉢または、フードプロセッサーを使用して粉末状にする
4、コーヒーフィルターで入れる
コーヒー同様にします。
(野の花えほん 春と夏の花 前田まゆみ 著 あすなろ書房 参照)
実は、試してみようとタンポポをシャベルで掘ってみました。
ところが、根が本当に深く、引っ張るとちぎれてしまいました。丁寧に深く掘る必要を感じ、断念。
次回は、じっくりとタンポポの根を掘り、根っこを掘り出してみようと思います。
ヨーロッパでは、なんとタンポポを掘り出すための道具があるそうです。
実際に試してみたら、またこちらにレビューを紹介します。
野草・お花摘みを楽しむためのおすすめ本
四季の野草 摘み菜がごちそう 平山けいこ著 山と渓谷社
摘み菜の種類が、季節ごとに分類され、目次からアプローチ可能。
名前を知らなくても季節のページをパラパラめくっていけば、お目当ての野草が発見できます。
- 野草の全体像の写真あり
- 野草の特徴の紹介
- 薬用などの用途について
- 摘み菜300種類、レシピ約170種類掲載
- コラムも多数載っていて、読みものとしても満足できる
美味しくないとされている摘み菜も、相性の良い組み合わせの紹介により美味しく食べれる工夫がされているとのこと。これは興味深いです。
初心者でなくても楽しめる1冊でもあり、持ち運びしやすいサイズ感がいいです。
野の花えほん 春と夏の花 前田まゆみ作 あすなろ書房
春と夏の花、秋と冬の花の2冊に分かれていてます。
ほっこり優しい雰囲気での絵で綴られ、タイトル通りお花に特化した内容。
特徴をしっかり掴んだ絵なので、見たい情報だけに目がいき、シンプルで分かりやすい本です。
- 野草の特徴を観察できるポイントが記載
- 同じ仲間の野草を紹介
- 簡単レシピ
- 名前の由来や、伝説などのエピソード
- イラストがかわいく、親子で楽しめる1冊
パッとページを開くだけで、「これやってみたい!」と思える一冊。お子さんと一緒に春の野遊びを楽しめます。
まとめ
野に咲く草のイメージが強いタンポポ。
そんなタンポポも昔から栄養のある野菜とされていました。
いつものサラダにちょっとだけタンポポの葉を入れてみる。
お茶の時間に生のタンポポ茶を味わってみる。
目的を作り、タンポポを探す一日も楽しい時間になりそうです。
タンポポがあるのは、春の一定の期間だけ。
一年を通して手に入りやすいよもぎを活用して、野草を楽しむこともおすすめです。
それでは、皆さまの素敵な春の日々にイロドリを。
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